週一くらいで書きたい日記

関東在住サラリーマン 41歳 男性です。

共謀罪について(反対)

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犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の今国会での成立が問題となっています。日弁連の反対サイトをみてわかるのは

日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:共謀罪法案対策本部 パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版)

  1. 共謀と準備行為があれば犯罪になる
  2. 実行行為は必要ない。
ということです。上の1と2の帰結として、「共謀」があったか否かの情報収集が捜査機関でなされることになります。そうしますと、その捜査機関に情報提供する人が出てくるでしょう。それは密告というものになり、現政権に批判的な態度をとる政党・記者や、小説に書くために犯罪の研究をする人、あるグループと対立して戦う弁護士を陥れるための手段になり得ます。スマホやラインの盗聴もされるでしょうし、GPSにより移動も監視されるでしょうし、密告が心配で友人や家族も信用できなくなるかもしれません。GPSが心配でスマホも持ち歩かなくなるでしょう。注:準備行為は資金の調達やチケットの購入だそうです。注:通信傍受とGPS捜査は今のところ自由にできません。
 
<2>
ベッカリーアの「犯罪と刑罰」(岩波文庫 風早八十二・五十嵐二葉訳)に
  1. 5 法律のあいまいさについて(P36)
  2. 9 密告について(P52)
という文章があります。1については「(法律の条文が大衆にはわからない死語で書かれると)、国民はじぶんの財産と自由に関して、とるべき態度をみずから判断することができなくなり、このために法律を解釈することのできる小数の者の従属の下におかれなければならなくなる。」とあります。
2については「犯罪の密告はあきらかな弊害であるが、多くの国で是認され、必要なものとさえなっている。それはその国々の政府が弱体であるためだ。こんなならわしは人間をうそつきにし、不誠実にする。同胞を密告者ではないかとうたがう者は、やがて同胞を敵と思うようになる。」とあります。
上の1と2の帰結として、ある法律の内容があいまいであり、かつ法律について密告が可能であると、大衆は小数の者の従属の下におかれ、さらに同胞を敵と思うようになります。これは独裁政権と同じです。共謀罪により実現しようとしていることは、テロ対策ではなく独裁政権の樹立と言っても過言ではありません。
 
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大谷實の「刑法講義 総論」(成文堂)に
  1. 犯罪の成立要件 行為(P96)
  2. 行為と行為者 総説(P109)
という文章があります。1については「思想、人格のごとき単なる内心的事実は、犯罪となるものではない。犯罪が成立するためには、外部に現れた客観的事実すなわち人の身体的活動としての行為が存在することを要するのである。行為がなければ犯罪はないとする原則を行為主義という。このようにして、行為は犯罪が成立するための基礎となるものである。」とあります。
2については、「行為のないところに行為者はなく、また、行為者に刑法的な価値判断を加えるための最も確実な資料ないし根拠は、外部に現われた行為を措いてほかにない。いやしくも人を罰するのに、曖昧なことを手がかりにすることは許されないから、犯罪論において考察の対象になる事実は、何よりもまず人の外部的態度としての「行為」でなければならない。」とあります。
上の1と2の帰結として、実行行為が必要ではなく、277にも及ぶ犯罪が対象という共謀罪が成立するということはすなわち、行為主義を採用する刑法の死を意味することになります。共謀罪は共謀を罰し、刑法は行為を罰するので両立しないからです。